愛犬の歯並びをチェック!原因と対策を徹底解説|埼玉県志木市のアポロどうぶつ病院
志木市・新座市・朝霞市・ふじみ野市・清瀬市の皆様こんにちは、埼玉県志木市のアポロどうぶつ病院です。
今日は、愛犬の健康と幸福に直結する「歯並び」についてお話しします。
犬の歯並びが悪いと、食事や健康に影響を及ぼすことがあります。
こんな症状が見られるときは、ぜひ一度歯科検診を受けられて、歯の状態を把握することをおすすめします。
◆注意すべき犬の歯並びの異常
①永久歯が生え始めたのに乳歯が残っている
②ペットショップやブリーダーさんにオーバーバイト(アンダーバイト)と言われた
③歯並びが乱れている・ガチャついている
これらの異常が見られた場合には
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🔳犬の歯並びの基本
・犬の歯の種類
犬の口の中には、子犬時代の乳歯(28本)と成犬になると生える永久歯(42本)が存在します。
これらの歯は、切歯(前歯)、犬歯(牙)、前臼歯、後臼歯の4つの種類に分かれます。
それぞれの歯には、ものを引っ張る(切歯)、引き裂く(犬歯)、掴む(前臼歯)、食物を噛み切る・砕く(後臼歯)といった役割があります。
・犬の歯の正しい歯並びとは?
正しい歯並びとは、上下の歯がしっかりと噛み合い、食べ物を効率よく噛むことができる状態を指します。
・切歯
短頭種以外の犬種では下顎の切歯が上顎の切歯のわずかに後ろ側に配列するのが正常です。
フレンチブル、パグ、ボストンテリア、シーズーなどの短頭種では、下顎が大きく、上顎より前に突き出した、いわゆる『アンダーバイト』が正常とされます。そのため切歯も下顎が上顎より前に出ているのが一般的です。
・犬歯
犬歯は全ての犬種で下顎の犬歯が上顎の犬歯より前にあり、切歯より後ろに位置します。また正面から見ると、左右の犬歯の長さ(高さ)が同じで、開き方や向き(角度)が左右対称であることも大切です。
・臼歯
臼歯に関しては唇の奥に存在する後臼歯より前の臼歯は全て、上顎が下顎の外側に位置するのが正常です。また、人間とは違い、歯同士は互い違いに配列し、直接かみ合うことはありません。
・子犬の歯の発育と成長過程
子犬は生後3〜4週間で乳歯が生え始めます。
生後4〜8ヶ月頃にかけて永久歯に生え変わります。
この時期に歯並びが決まるため、4ヶ月齢ごろから定期的に歯のチェックを行うことが大切です。
アポロどうぶつ病院では永久歯が完全に生えそろうまで2週間〜1ヶ月ごとの健診をオススメしています。
🔳犬の歯並びが悪くなる原因
・遺伝的要因
多くの犬種では遺伝的に歯並びが悪くなりやすい傾向があります。
特に小型犬は歯の土台になる顎の骨の発育が相対的に小さく、歯並びの異常を引き起こしやすくなっています。
また短頭種(フレンチブルドッグやシーズー、パグなど)は、下顎の骨が上顎の骨より長く、必ず不正咬合が見られます。
コリーやボルゾイなどの超長頭種と呼ばれる犬種にも後方交叉咬合という臼歯の不正咬合が見られることがあります。
・不適切な噛み合わせ(オーバーバイト・アンダーバイト)
オーバーバイト(上顎が下顎よりも前に出ている状態)やアンダーバイト(下顎が上顎よりも前に出ている状態)は、歯並びに影響を及ぼします。
これらは遺伝的要因や成長過程での異常によって引き起こされます。
・乳歯の抜け残り
乳歯が自然に抜けずに残ってしまうと、永久歯の正常な生え方を妨げ、歯並びが悪くなる原因となります。
・外傷や事故
事故や外傷によって歯や顎が損傷すると、歯並びが崩れることがあります。特に子犬時代は骨が柔らかいため、外傷に注意が必要です。
・換歯期の不適切な遊び
歯の生え換わりを促す目的で4〜8ヶ月齢の幼犬時に硬い噛むおもちゃを与える飼い主さんがいますが、
硬いものを噛むことで生え換わりが促進することはありません。
生え始めの柔らかい永久歯に強い力がかかり、かえって歯並びの悪化に繋がるリスクがあります。
🔳犬の歯並びが悪いことによる影響
・食事や栄養摂取への影響
歯並びが悪いと、食物をうまく噛むことができず、食が細くなり消化不良や栄養不足・成長不良を引き起こすことがあります。
また、物を噛んだり引っ張ったりする遊びがうまくできずにストレスを溜めていたり、発散不足から怒りっぽくなっている犬が、不正咬合の治療を受けてから穏やかな性格に変わったと言うこともあります。
・歯周病や口内感染症のリスク
不正咬合によって歯の清掃が難しくなると、歯垢がその部分にだけ溜まりやすくなってしまいます。
その結果、歯石の付着が早まり、歯周病リスクが高まります。
結果的に歯みがきはきちんと出来ているのに、その部分は抜歯をしないといけない、といった事態にもなりかねなくなります。
・噛み合わせの問題による痛みや不快感
不適切な噛み合わせによって歯の先端が歯肉に刺さるような状態になってしまうことがあります。
そのままにしておくと食事や咀嚼の際に痛みや不快感を引き起こしたり、
歯肉に穴があく原因になったりすることがあります。
・見た目が悪いこと、ストレスを感じやすいこと
歯並びが悪いことで舌が口の外に出てしまうことがあります。 舌が常に乾燥することでしょっちゅう不快感を感じるようになったり、口の周りの毛がよだれで汚れて外見の変化をもたらす場合があります。
🔳犬の歯並びのチェック方法
・日常的な歯の観察ポイント
愛犬の歯並びをチェックする際には、以下のポイントを確認しましょう。
– 切歯はきれいなカーブの上に揃っていて、下顎は上顎のわずかに後ろ
– 犬歯は上顎が後ろ、下顎が前
– 左右の歯並びは対照
– 臼歯(奥歯)は上下が互い違い
日常的に歯の観察を行うことで、早期に問題を発見し対処することができます。
・定期的な歯科検診の重要性
獣医師による定期的な歯科検診は、歯並びの問題を早期に発見し、適切な治療を行うために非常に重要です。
アポロどうぶつ病院では、
・子犬の時は2週間〜少なくとも1ヶ月に一度
・成犬になったら半年〜少なくとも1年に一度
の検診をおすすめしています。
🔳犬の歯並びの異常(不正咬合)の治療
①乳歯抜歯
多くの歯性不正咬合(顎の骨の発育は正常で歯並びだけ異常)は、幼犬時の換歯時期に適切に乳歯を処置することで、生活に支障がないレベルまでの十分な改善が見込めます
②歯科矯正
人間と同じように、矯正具を歯に付けて歯並びを矯正することも可能です。
「実施可能時期のタイミングがシビア」、「数週間毎の複数回の全身麻酔が必要」、「どの歯でも出来るわけではない」、「矯正具を動物自身が受け入れにくいことがある」などの困難もありますが、最終的に歯を残して、自身の歯並びをより良くできるのは大きなメリットがあります。
ご希望の方には、まず最初に充分にカウンセリングを実施し、矯正のメリットデメリットについてしっかりとした理解を得ていただいています。
③歯冠切除、生活歯髄切断、歯間切削
歯並びの異常を起こしている歯を削ったり切ったりして歯の形を整える方法です。そのことによって歯肉にあたっている部分や、他の歯とぶつかる部分をなくして、歯並びは変えずに問題とならないようにしていきます
④抜歯
上記のような方法で上手く行かない場合、さまざまな理由で複数回の麻酔下処置が難しい場合などには、抜歯をすることで問題になっている歯並びの異常を解決することもあります。
それぞれの方法にはメリットデメリットがあり、どの方法が最適かはケーズバイケースです。
🔳犬の歯並びを改善する方法
・食事やおもちゃの選び方
硬すぎないおもちゃや食べ物を選ぶことで、歯や顎に負担をかけず、歯並びの悪化を防ぐことができます。
目安は人間が指で押してちぎることができたり、跡をつけられるくらいの硬さまでです。
動物の骨や蹄、ヒマラヤチーズなどは硬すぎて悪影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。
・定期的なデンタルケアの実施
日常的に歯磨きを行うことで、歯垢や歯石の蓄積を防ぎ、健康な歯並びを保つことができます。
犬用の歯ブラシと歯磨き粉を使用し、日常的に歯磨きを実施していきましょう。
アポロどうぶつ病院では、犬の歯磨きトレーニングのサポートも行っていますので、いつでもご相談ください。
・乳歯の抜け残りへの対処
乳歯が抜け残っている場合は、獣医師による抜歯が必要です。
適切な時期に処置を行うことで、永久歯が正しい位置に生えるのを促進できます。
ただ、乳歯抜歯をすればいつでも永久歯の歯並びを矯正できるわけではありません。
永久歯の萌出する位置や方向に影響を及ぼせる期間は生え換わり時期中の2〜3週間の間しかありません。
そのため、生え換わりの推移を見守りながら、タイミングを計って必要であればすぐに処置をしなければいけません。
🔳まとめと今後のケアのポイント
・ 歯並びの重要性と健康への影響
犬の歯並びは、健康と生活の質に直結しています。正しい歯並びを保つことで、食事や健康トラブルを予防できます。
・継続的なデンタルケアの推奨
日常的なデンタルケアを継続することが、愛犬の歯並びと全体の健康を保つ鍵です。毎日の歯磨きを習慣化しましょう。
・定期的な歯科検診と適切な治療
獣医師による定期的な歯科検診を受け、必要な治療を行うことで、歯並びの問題を早期に解決できます。
愛犬の健康を守るために、積極的なケアを心がけましょう。
当院では歯科の特別診療を実施しておりますので、歯の症状でお悩みの方はご相談ください。
また、マンツーマンでの歯磨きトレーニングも実施しておりますので、ぜひご検討ください。