【獣医師が解説】犬のアトピー性皮膚炎の原因と治療、予防法|アポロどうぶつ病院
志木市・新座市・朝霞市・ふじみ野市・清瀬市の皆様こんにちは。
埼玉県志木市のアポロどうぶつ病院です。
今回は、アトピー性皮膚炎の原因、進行、症状、治療方法、そして予防策について解説していきます。
アトピー性皮膚炎でお悩みの場合は、是非当院に一度ご相談ください。
■アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は、犬や猫などのペットにおいても一般的に見られる皮膚の疾患です。
主にアレルギーと皮膚バリア機能の2つの問題が相互に関連し合うことが原因で引き起こされます。
アレルギー反応は、遺伝的な要因によって免疫機能が過剰に活発化して環境的なアレルゲン(花粉、ホコリ、ダニなど)に対しておこる過敏な反応のことを指します。
また皮膚の保湿能や角質構造の異常が起こるとバリア機能の低下が原因となり、慢性的な皮膚の炎症と強い痒みを伴います。
■アトピー性皮膚炎の症状
アトピー性皮膚炎の主な症状には、強い痒み、湿疹(丘疹や膿疱などの皮疹)、皮膚の発赤、乾燥、腫れ、そして繰り返し発生する感染症が含まれます。
特に、顔、耳、脇の下、腹部、足の裏などの敏感な部位に症状が現れやすいです。
痒みを伴うため、動物は頻繁にその部分を掻いたり舐めたりし、その刺激で皮膚をさらに悪化させることがよくあります。
また、長期的な炎症が続くと、皮膚が硬化(象皮様)したり、色素沈着によって黒くなってしまうこともあります。
■アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎は、遺伝的なアレルギー要因と皮膚バリア機能の要因の組み合わせで発症します。
遺伝的な要因は、特定の犬種(柴犬、ウェスティ、フレンチブル、チワワ、ダックスフント、シーズーなど)や家系での発症リスクを高め、ハウスダスト、コナダニ、チリダニなどの塵性昆虫、カビなどのアレルゲンに触れることで、免疫系が過剰に反応し、皮膚に炎症が生じます。
皮膚の表面を均一に覆う角質細胞と、角質細胞の間の隙間を埋める水分やセラミドなどの物質が皮膚のバリア機能を構成し、アレルゲンやハウスダスト、カビ、細菌といったさまざまな異物が皮膚内に侵入するのを防いでいます。
遺伝的な素因、掻いたり傷付けたりすることによる物理的な損傷、食事内容、不適切なスキンケアなどの影響でその皮膚バリア機能が弱まってしまうと、アレルゲンが皮膚に侵入しやすく、炎症を引き起こしやすいとされています。
■アトピー性皮膚炎の治療法
アトピー性皮膚炎の治療は、主にアレルギー反応を減少させることと、皮膚バリア機能を改善させることをめざします。以下のような治療法が一般的です。
- アレルゲンの回避: 可能であれば、特定のアレルゲンを特定し、それを避けることが効果的です。
例えば、ハウスダスト対策として、掃除回数を増やす、アレルゲン除去に対応した掃除機や除湿機の導入、ハウスダスト対策がされたベッドカバーやカーペット、ソファカバーなどがあります。 - 薬物療法: 痒みや炎症を抑えるために、ステロイド、シクロスポリン、またはオクラシチニブ、ロキベトマブなどの免疫抑制剤や抗アレルギー剤が用いられることがあります。これらの薬物は症状を効果的にコントロールしますが、それぞれの薬剤には一長一短があったり、気をつけなければいけない副作用も違ってくるため、獣医師と相談して、より適した薬剤を選択する必要があります。
- スキンケア: 保湿剤やアレルギー専用シャンプーを使用して、皮膚のバリア機能を強化し、乾燥を防ぐことで、症状を緩和させたり、再発を低下させたりします。
- 免疫療法: アレルゲンに対する免疫寛容を高めるために、減感作療法(アレルゲン免疫療法)が行われることがあります。
この治療法は、アレルギー反応を減少させ、長期的な改善を期待できます。 - 食事療法: アトピー性皮膚炎と食物アレルギー性皮膚炎が併発している場合は、アレルギー反応を引き起こす成分を除去した特別食を与えることが推奨されます。
また、食物アレルギーがない場合でも皮膚バリア機能の改善や体内の炎症反応の緩和を目的としたフードを選択することで症状の改善が見込める場合もあります。
■アトピー性皮膚炎の予防法
アトピー性皮膚炎の発症や悪化を防ぐためには、次のような予防策が有効です。
- アレルゲン管理: アレルゲンへの曝露を最小限に抑えるため、定期的な掃除や、空気清浄機の使用などを行います。また、季節によっては花粉対策を行うことも重要です。
- スキンケアの徹底: 適切なシャンプー剤、保湿剤、入浴剤を上手に組み合わせて保湿を十分に行い、皮膚のバリア機能を維持することで、アレルゲンの侵入を防ぎます。
特に乾燥する冬季には、保湿ケアを強化することが推奨されます。 - バランスの取れた食事: 栄養バランスの取れた食事を与えることで、免疫力を高め、アレルギー反応を抑えることができます。
特にオメガ3脂肪酸を多く含む食材は、皮膚の健康維持に役立ちます。 - 定期的な健康チェック: 動物病院での定期検診を通じて、早期に症状を発見し、迅速な対応を行うことが重要です。
■まとめ
アトピー性皮膚炎は、犬や猫の生活の質を大きく左右する慢性疾患です。
痒みや炎症によって動物が苦しむことがないよう、早期発見と適切な治療が必要です。
治療にはアレルゲンの回避、薬物療法、免疫療法、スキンケア、食事療法が含まれ、症状を管理し、再発を予防することが目標です。
アトピー性皮膚炎でお悩みの方は、ぜひアポロどうぶつ病院にご相談ください。
適切な診断と治療を提供し、ペットの健康を守ります。