【獣医師が解説】犬の弁膜症の原因・症状・治療法|アポロどうぶつ病院

志木市・新座市・朝霞市・ふじみ野市・清瀬市の皆様こんにちは。埼玉県志木市のアポロどうぶつ病院です。

今回は、犬の弁膜症の原因、症状、治療方法、そして予防策について解説していきます。

弁膜症でお悩みの場合は、是非当院に一度ご相談ください。

■犬猫の弁膜症とは

弁膜症とは、心臓の弁(僧帽弁や三尖弁など)が正常に機能しなくなる病気です。

犬の心臓病の中でも特に一般的な疾患の一つで、小型犬や高齢犬に多く見られます。

心臓の弁は、血液の逆流を防ぐ役割を果たしていますが、

弁膜症ではこの弁が十分に閉じなくなったり、逆流を引き起こしたり、逆に弁が十分に開かなくなったりすることで、血流に問題が生じます。

特に僧帽弁閉鎖不全症が多く見られ、弁膜症全体の約75%を占めています。

 

■犬猫の弁膜症の症状

弁膜症の症状は病気の進行度によって異なりますが、咳が特に夜間や朝方に見られることがあります。

また、軽い運動でも息切れを起こしたり、以前より疲れやすくなったりすることがあります。

食欲が減少し、お腹が膨らんで見えることや、重症の場合には失神やチアノーゼ(粘膜が青白くなる)といった症状が現れることもあります。

初期段階では症状が軽微で気づきにくいため、年齢に伴う変化と捉えられやすく、発見が遅れることがあります。

 

■犬猫の弁膜症の原因

弁膜症の主な原因として、加齢による弁の変性が挙げられます。

特にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ダックスフンド、プードル、マルチーズ、

チワワ、ヨークシャーテリアなどの犬種では、遺伝的な要因で発症リスクが高いことが知られています。

また、細菌性心内膜炎などの感染症や、先天的な心臓の異常、肥満、慢性的な高血圧も弁膜症の原因となります。

特に小型犬や高齢犬は注意が必要です。

 

■犬猫の弁膜症の治療法

治療法は、症状の程度や全身状態によって決定されます。

薬物療法では、利尿剤で体内の余分な水分を排出し心臓の負担を軽減したり、

カルシウムチャネル阻害剤で血管を拡張して血流を改善します。

強心薬で心臓の収縮力を高めたり、β遮断薬で心拍数を抑えることも効果的です。

食事療法では、低ナトリウムの食事やタウリン、L-カルニチンの補給が推奨されます。

運動管理では、過度な運動は避けつつも、適度な運動を続けることが大切です。

また、定期的な検査として心エコーやレントゲン検査、心電図検査、血圧測定、血液検査を行うことが推奨されます。

重度の場合には弁形成術と呼ばれる外科手術が行われることもありますが、

手術は難易度が高く、高額であるため、すべての病院で受けられる治療ではありません。

アポロどうぶつ病院では外科的処置は行っていませんが、手術が可能な施設と連携し、最適な治療を受けられるようサポートしています。

 

■犬猫の弁膜症の予防法

弁膜症の予防は難しいものの、リスクを軽減するためにいくつかの方法があります。

年に1~2回は定期的な健康診断を受け、心音聴診や心エコー検査を通じて早期発見を心がけましょう。

肥満は心臓に負担をかけるため、適正体重の維持が重要です。

また、歯周病は心臓病のリスク因子となるため、定期的な歯のケアを行うことが推奨されます。

ストレスを避け、軽い運動を取り入れた快適な環境を整えることも大切です。

さらに、感染症予防としてフィラリア予防や混合ワクチンの接種も忘れずに行いましょう。

 

■まとめ

弁膜症は特に高齢犬や小型犬に多く見られる心臓病ですが、

近年は手術や薬物療法の進化により、良好な状態を維持できることが増えています。

早期発見と適切な治療が重要で、定期的な診察を受けることで症状が現れる前に対処できることがあります。

アポロどうぶつ病院では、犬の弁膜症に関する豊富な診断・治療経験を基に、最適な治療プランを提案いたします。

愛犬の心臓の健康に不安があればお気軽にご相談ください。