犬の歯周病の原因、進行、症状、治療方法について|埼玉県志木市のアポロどうぶつ病院
志木市・新座市・朝霞市・ふじみ野市・清瀬市の皆様こんにちは。埼玉県志木市のアポロどうぶつ病院です。
今回は、犬の歯周病の原因、進行、症状、治療方法、そして予防策について解説していきます。
当院では、犬の《歯科専門治療》を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。
犬の歯周病を徹底解説!原因から予防まで
こんにちは!飼主の皆さん。
今回は
犬の歯周病について詳しく解説します。歯周病は、犬の健康に重大な影響を与える可能性のある病気です。
この記事では、歯周病の原因、進行、症状、治療方法、そして予防策について、詳しく説明します。
1. 歯周病の基本情報
1.1 歯周病とは?
歯周病は、歯を支える組織が炎症を起こす病気です。
歯茎(歯肉)、歯根膜、歯槽骨などの歯周組織が炎症を起こし、進行すると歯がぐらつき、最終的には抜け落ちることもあります。
歯周病は、歯周病菌が血流に乗ることで心臓や腎臓など全身の健康にも悪影響を与える可能性があります。
1.2 歯の構造
犬の歯は、表面のエナメル質、象牙質、そして中心の神経や血管が通る歯髄から構成されています。歯を支える組織として、歯肉、歯根膜、歯槽骨があります。これらの組織が健康であることが、歯全体の健康を保つために重要です。
2. 歯周病の原因
2.1 プラークと歯石
歯周病の主な原因は、プラークと呼ばれる歯垢のなかの歯周病菌です。
プラークは、食べかすと細菌が混ざり合って形成される粘着性の物質です。
プラークが除去されずに放置されると、唾液中のミネラルと結合し、硬くなって歯石になります。
歯石はブラッシングでは取れません。
歯石そのものは歯周病の直接の原因ではありませんが、表面に細かい凹凸があり、歯周病を引き起こす歯周病菌の温床となります。
2.2 食生活と口腔ケア
不適切な食生活や口腔ケアの不足が歯周病の原因となります。
柔らかい食事が、歯に食べかすが残りやすく、プラークが形成されやすくなることが知られています。
ドライフードであっても、トッピングに茹でた(レンチンした)芋類やブロッコリーなどの野菜や肉を使用していると、それが口の中に残ってプラークのモトになることもあります。
また、定期的なハミガキが行われないと、プラークや歯石が蓄積しやすくなります。
3. 歯周病の進行
3.1 初期段階(歯肉炎)
歯周病の初期段階は、歯肉炎です。
この段階では、プラークによって歯肉が炎症を起こし、赤く腫れたり、出血しやすくなります。
初期段階での治療は比較的簡単で、適切な口腔ケア(歯ブラシによるプラークコントロール)を行うことで治癒します。
3.2 進行段階(歯周炎)
歯肉炎が進行すると、歯周炎になります。
歯周炎では、歯肉の炎症が歯根膜に広がり、歯を支える組織がだんだんと破壊されて歯周ポケットが深くなってしまいます。
さらに進むと歯槽骨が融解していきます。
この段階では、歯がぐらつき、最終的には抜け落ちることもあります。
治療が遅れると、顎の骨が折れてしまうこともあります。
4. 歯周病の症状
4.1 口臭
歯周病の初期症状として最も一般的なのは口臭です。
歯垢や歯石がたまると、口の中で細菌が増殖し、悪臭を放つようになります。
4.2 歯茎の異常
歯茎が赤く腫れたり、出血しやすくなります。
特に、歯磨きの際に出血する場合は、歯周病の可能性があります。
4.3 歯のぐらつき
歯周病が進行すると、歯を支える組織が破壊されるため、歯がぐらつくようになります。
最終的には、歯が自然に抜け落ちることもあります。
4.4 食欲不振
口の中に痛みや不快感があるため、食べることを嫌がるようになります。
また顎を震わせたり、カクカク音がしたり、歯ぎしりが見られるようになることもあります。
食欲不振は全身の健康にも悪影響を与えるため、注意が必要です。
5. 歯周病の治療
5.1 プラークと歯石の除去
歯周病の治療は、まずプラークと歯石の除去から始めます。
これには、獣医師によるプロフェッショナルクリーニングが必要です。
全身麻酔をかけて、歯と歯周ポケットの奥にたまった歯石を徹底的に除去します。
5.2 歯周ポケットの治療
歯周ポケットが深くなっている場合は、手術が必要になることがあります。手術では、歯周ポケット内の汚れを除去し、感染した組織を取り除きます。これにより、歯周組織の健康を取り戻すことができます。
5.3 抜歯
歯周病が進行し、歯槽骨や歯肉が消失していると、
歯周ポケット内を清掃しても歯がグラグラして痛みが消失する見込みがない、
または咀嚼ができるようにならないと予想される場合もあります。
そのような場合は獣医師が抜歯を提案することもあります。
歯を取り除き、壊死した歯肉や骨などの周囲組織を除去して傷口を縫合して塞ぐと速やかに炎症がひいて痛みが減少します。
5.4 抗生物質の投与
全身麻酔のリスクが高いなどプラーク除去が困難な場合は、抗生物質の投与を選択する場合もあります。
これにより、細菌の増殖を抑え、炎症を軽減しますが、根本が直りきることはなく、多くの場合効果は一時的で症状が再発します。
6. 歯周病の予防
6.1 日常的な歯磨き
歯周病の予防には、日常的な歯磨きが最も効果的です。
水をたっぷりつけた犬用の歯ブラシを使用し、毎日歯を磨く習慣をつけましょう。
歯磨き粉はあってもなくてもかまいません。
特に、歯と歯茎の際を重点的に磨くことが重要です。
歯磨きは毎日少しずつ嫌がらない範囲を広げるように進めるのがポイントです。
うまく磨けない場合は動物病院やトレーナーが行っている歯磨き教室に参加するのもオススメです。
6.2 定期的な歯科検診
定期的に獣医師による歯科検診を受けることで、早期に歯周病の兆候を発見し、適切な対策を講じることができます。
少なくとも年に一度は歯科検診を受けるようにしましょう。
歯みがきがどうしても習慣化できず、麻酔リスクが充分低いと判断される場合は、
定期的な麻酔下でのプロフェッショナルクリーニングが、健康な歯を維持するのに効果的な場合もあります。
6.3 適切な食事
ドライフードは歯垢の付着を遅らせる効果は見込めるかも知れません。
デンタルガムを与えることで、臼歯の歯垢は自然に取れやすくなります。
また、食事後に水を飲ませることで、口の中を洗い流す効果も期待できます。
6.4 専用のデンタルケア製品
デンタルケア用のスプレーやジェルを使用することで、口腔内の細菌の増殖を抑え、歯周病を予防することができます。
7. まとめ
犬の歯周病は、放置すると深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。しかし、日常的なケアと定期的な獣医師の診察で予防することができます。以下のポイントを心がけましょう:
– **毎日の歯磨き**: 犬用の歯ブラシを使用し、毎日歯を磨いてあげましょう。
– **定期的な歯科検診**: 獣医師による定期的な検診を受けることで、早期発見と早期治療が可能になります。
– **適切な食事とデンタルケア製品の使用**: 硬いドライフードやデンタルガムを与えることで、歯垢の形成を抑え、デンタルスプレーやジェルを使用することで細菌の増殖を抑えましょう。
愛犬の健康を守るために、今日から歯のケアを始めましょう。何か疑問や不安があれば、ぜひ獣医師に相談してください。