診療案内

麻酔について

動物の安全と飼い主様の安心を最優先に考えた麻酔管理を

当院では、動物のストレスを最小限に抑え、安全かつ効果的に治療を行うために、全身麻酔と局所麻酔をうまく併用しながらをかけた状態で歯科治療を行っています。
人間は治療を受ける本人が治療の内容を理解し、動かずに治療を受けることが自分の利益に繋がると理解していただけます。
そのため局所麻酔で痛みさえ抑えてあげれば、本人自身が動かずに治療に協力していただけるようになります。

しかし動物は人間のように理解して協力してくれるようにはなりません。
そのため痛みがゼロになったとしても、動かないように押さえられたり、大きな機械音がしたりすると、恐怖や緊張を感じてそれを回避しようと動いてしまったり、ストレスを感じることが身体にさまざまな有害反応を引き起こしてしまったりします。

局所麻酔に併用して全身全身麻酔を用いることで、動物の意識をコントロールしてあげることでが痛みとともに治療中に感じる痛みや不安や緊張を取り除き、治療をスムーズに進めることができます。

General anesthesia全身麻酔について

メリット

  • ・動物が動かない状態を維持できるため、治療の精度が向上します。
  • ・長時間の治療や複雑な処置も、動物に負担をかけずに行えます。
  • ・痛みを完全に管理できるため、治療後の回復もスムーズに進みます。

デメリット

  • ・個体によって効き目にばらつきが出る事があります
  • ・針を刺すことによって血管を損傷して出血させたり、神経を障害して麻痺が出てしまう場合があります

リスク

アレルギー反応
麻酔薬に対するアレルギー反応が起こることがあります。
これは軽度の皮膚反応から、重篤なアナフィラキシーショックまで、様々な程度があります。
心臓への影響
一部の麻酔薬は心拍数や血圧に影響を与えることがあります。
これにより、不整脈や心停止のリスクが増加する可能性があります。
術後の認知障害
特に高齢の患者では、麻酔後に一時的な認知障害が見られることがあります。
これには、混乱、記憶力の低下などが含まれます。
神経障害
局所麻酔は太い神経を狙ってその周りに麻酔薬を染み渡らせて神経の働きを止める仕組みのため、神経に針があたって障害が出る恐れがあります。
ほとんどの場合は時間経過とともに自然と回復しまずが、ごく希に障害が一生残ってしまう可能性もあります。
呼吸抑制
特に全身麻酔の場合、呼吸抑制が起こる可能性があります。
麻酔薬は呼吸中枢に作用し、呼吸が浅くなったり、停止することもあります。
吐き気や嘔吐
麻酔から覚めた後に吐き気や嘔吐が起こることがあります。
これは麻酔薬の作用によるものです。
内出血
局所麻酔を打つ場所には比較的太めの血管が走行していることが多く、注射針を刺入することで血管を傷付け出血をさせてしまうことがあります。
とくに上顎の臼歯の処置部位は眼球の真下のため内出血が血腫を作って眼球が腫れたり飛び出てしまうことがごく希にあります。

当院では麻酔をかける前に、麻酔のリスクと安全管理についてしっかりと説明し、飼い主様にご納得いただいたうえで治療を進める「インフォームドコンセント」を大切にしております。

Necessity麻酔の必要性

痛みの管理

動物が手術や処置を受ける際に、最も大きな問題となるのが痛みです。痛みは動物にとって非常にストレスとなり、恐怖や不安を引き起こす原因にもなります。
また痛みを感じることで、『炎症性サイトカイン』という物質が治療箇所で分泌されやすくなり、傷の治りを悪くさせる場合もあります。
麻酔を使用することで、手術中や処置中の痛みを完全に取り除くことができ、動物が苦痛を感じることなく治療を受けることができます。
これにより、動物の身体的および精神的な負担を軽減することが可能です。

手術や検査の安全性向上

麻酔によって動物が動かなくなるため、手術や検査の精度が向上します。
動物が動かないことで、医師が安全かつ正確に手術や処置を行うことが可能です。
特に外科手術では、動物が動かないことで手術部位が安定し、手術の成功率が高まります。また、麻酔を使用することで、動物の体内に挿入される器具や機器が動かないため、歯科レントゲン検査も内視鏡検査やCTスキャンなどの診断もより正確に撮影を行うことができます。

ストレスと恐怖の軽減

動物は、手術や処置を受ける際に多くのストレスを感じることがあります。麻酔を使用することで、動物は手術中や処置中に意識を失い、恐怖や不安を感じることがなくなります。これにより、動物がストレスを感じることなく治療を受けることができ、回復も早くなる傾向があります。また、飼い主にとっても、動物が安心して治療を受けられることは大きな安心材料となります。

Safety麻酔の安全管理

その1

リスク評価と健康チェック

麻酔前検査 手術や検査の前に、獣医師は動物の全体的な健康状態を評価するための血液検査や心電図などの健康診断を実施します。これにより、潜在的な健康問題を早期に発見し、麻酔のリスクを評価します。
過去の医療歴確認 動物の過去の医療歴やアレルギー反応の有無を確認し、最適な麻酔薬を選択します。
その2

適切な麻酔薬の選択

個々の動物に合わせた麻酔薬 動物の種類、年齢、体重、健康状態、処置や手術内容に基づいて、最適な麻酔薬を選択します。例えば、若い動物と高齢の動物では使用する麻酔薬が異なる場合があります。
麻酔薬の投与量調整 投与量は個々の動物の体重や健康状態に応じて正確に計算されます。
これにより小型、超小型であればあるほどリスクが高い、という状況を作らないようにできます。
その3

麻酔中のモニタリング

モニタリング機器の使用 麻酔中は、心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和度、心電図、二酸化炭素濃度などの重要なバイタルサインをモニタリングするための専用機器を使用します。
専門スタッフの監視 麻酔の専門スタッフが常に動物の状態を監視し、異常が発生した場合には即座に対応できるよう準備しています。
その4

麻酔管理

持続的な麻酔管理 手術や検査の途中で麻酔の効果が切れないよう、持続的に麻酔薬を投与する管理システムを使用します。
緊急対応 万が一の緊急事態に備えて、すぐに対応できるように緊急薬やアンビューバッグ、除細動器などの機器を常に準備しています。
その5

麻酔後の管理

回復室の監視 手術や検査後、動物が完全に目覚めるまで専用の回復室で監視されます。ここでは、麻酔の影響から安全に回復できるよう、継続的なバイタルサインのチェックが行われます。
痛みの管理 麻酔からの回復後も痛み管理のための薬を適切に投与し、動物の快適さを確保します。