診療案内

乳歯遺残

このような症状はございませんか?

  • 乳歯が抜けない
  • 歯が多い気がする
  • 歯並びが悪い

このような症状があてはまったら、
乳歯遺残》の疑いがあります。

Retained Deciduous Teeth乳歯遺残とは

晩期乳歯遺残とは、犬や猫の乳歯が永久歯に置き換わるべき時期に脱落せず抜けずに残ってしまう状態を指します。一般的には単に「乳歯遺残」と呼ばれることが多いです。乳歯遺残では、乳歯と永久歯が同じ場所に並んで生えているため、歯列が二重になってしまったり、歯並びが悪くなってしまうことがあります。これにより、歯垢や歯石がたまりやすくなり、歯周病のリスクが高まったり、歯のかみ合わせが悪くなって噛むたびに自分の歯で自分の口の中を傷付けてしまうようになったりしてしまいます。口臭が強くなることがあります。

乳歯遺残と放置すると、このような問題があります

歯周病のリスクの増加

乳歯と永久歯は永久歯同士の間よりも距離が狭いことが多くの間に食べ物が詰まりやすく、歯垢が増えやすい要因となります。

不正咬合

適切な位置で噛み合わせ(咬合)が出来なくが不自然になることで、歯同士がぶつかり歯面を傷付け合うようになってしまったり、歯肉に歯が刺さって穿孔させてしまうことがあります。

永久歯の成長妨害

残った乳歯が永久歯の正常な成長を妨げることがあります。これにより、永久歯が曲がって生えたり(回転歯、傾斜歯)、本来の高さまで萌出が進まない(低位)適切な位置に生えないことがあります。いずれも多くは歯磨きやホームケアのやりにくさを増してしまい,結果的に歯周病予防にマイナスに働いてしまいます。

Treatment当院の乳歯遺残治療

治療

抜歯

治療内容

全身麻酔 動物が痛みとストレスを感じないようにし、治療中に動かないようにするために全身麻酔を施します。
局所麻酔 局所麻酔の注射を行いさらに鎮痛効果が増強されるようにします。
遺残乳歯の評価 プローブという器具で歯と歯肉の状態を確認していきます。また歯科レントゲンで1本1本の歯と歯槽骨の中の歯根の状態を調べます。
抜歯の実施 専門的な歯科用器具を使用して、残っている乳歯を慎重に抜きます。乳歯は永久歯に比べて細く柔らかいので途中で折れてしまう場合もあります。その場合は歯肉や歯槽骨を切開して歯根を摘出します。抜歯後は、歯茎の出血を止めるために圧迫止血を行います。途中で折れて切開が必要な場合を除いて通常は縫合は不要です。
術後のケア 抜歯後の口腔内の清潔を保つために、抗生物質や消炎剤を処方することがあります。

Flow治療の流れ

step01

一次診査

初診時には、まず診察室でお口の様子を診察します。
この段階では動物に意識がある状態で永久歯と乳歯の本数を確認し、痛みがないかや口の動きなどの評価を行うほか、ご家庭での歯磨きケアの状況などについてヒアリングを行います。

重症度 それぞれの部位の乳歯の遺残の状況と周囲への影響を確認します。
治療方針 仮の治療計画を立て、必要な治療についてご説明します。
費用の概算 治療にかかるおおよその費用をお伝えします。
術後のケア 術後のご自宅での歯磨きケアのやり方についてすりあわせを行います。

この段階での診断は仮診断となり、確定診断や最終的な治療費は麻酔下で行う二次診査精査を経て決定されます。

step02

麻酔前検査

歯科の検査精査や処置には全身麻酔が必須です。
そのため、以下の手術前検査を行い、全身麻酔が可能かどうかを判断します。

血液検査 血液の状態を確認し、主に内臓全身の健康状態を評価します。
レントゲン検査 おもに胸部や腹部のレントゲンで心臓・肺・内臓に異常が見られないか、頭部のレントゲンで歯や顎の骨の状態を大まかに評価します。
超音波検査 内臓や心臓の動きや内部の構造に異常がないか検査します。

これらの検査に基づき、ASA分類に沿って全身状態と麻酔リスクを総合的に評価します。

step03

二次診査

全身麻酔をかけて口を自由に開けるようにします。
その後より詳しく口腔内と歯の状態を調べていきます。
プローブという専用の器具を使って歯周ポケットの深さや歯肉の腫れ具合、出欠の有無などをすべての永久歯、乳歯について評価します。
つづけて口の中にフィルムを入れて歯科用レントゲンで歯と歯槽骨の撮影を行います。
(二次診査は通常麻酔前検査の約1週間後に行うことが多いです)
これらのデータを総合的に判断して必要な治療を策定します。
一次診査の見立てと異なる場合など改めて判断が必要な場合はお電話にて飼い主様に相談をします。

step04

手術・処置

飼い主様の同意を得た方法によってそれぞれの部位に必要な処置・手術を施します。
術後は全身麻酔を切って覚醒し出血などの問題がないかどうか看護していきます。
退院は処置時間の長さに応じて当日または翌日となります

二次診査と手術・処置は同日で一連の全身麻酔で行うことが一般的ですが、二次診査の内容について詳しく説明を受けた後改めて処置・手術の内容を見直したいと希望される飼い主様の場合、いったん覚醒させて再度別日に分けて処置・手術を行うことも可能です。

step05

術後チェック

手術後7〜10日後にご来院いただいて再度口腔内をチェックします。
再チェック時は通常全身麻酔は行いません。
この日の診察では、以下の点について確認します。

口腔内の状態 手術後の口腔内の傷の治り具合や1週間での歯垢の再付着の程度を確認します。
デンタルケアの相談 今後のデンタルケアの取り組み方についてご相談いたします。
step06

処置後のアフターケア

アポロどうぶつ病院では、日常のデンタルケアの一環として愛玩動物看護師によるマンツーマンの歯磨きトレーニングを行っています。
歯磨きトレーニングは対象が犬と猫です。
乳歯遺残の処置は多くの場合、幼犬幼猫の時期に行われますが、この時期は歯磨きトレーニングにもっとも適した時期でもあります。

猫ちゃんの歯磨きは犬より難しいですが、猫ちゃんと飼い主様のがんばり次第で磨けるようになることも可能です。
歯磨きトレーニングでは以下のようにトレーニングを進めていきます。

ゴールの設定 どれくらい歯磨きが出来るようになればいいか、目標を一緒に立てます。
正しい歯磨きの方法を学びます。
動物との信頼関係構築 歯磨きの大切さを動物自身は理解してくれません。
無理矢理やると口の中に人工物を突っ込まれて飼い主様がただ嫌なことをやるだけという印象になってしまいます。そこで歯磨きの前提として飼い主様と動物の信頼関係をさらに高めるためにはどうしていくかをお伝えします。
歯磨き動作のステップ分解 実際に歯磨きで行う動作を細かいステップに分けて一段一段階段を上るように少しずつできる動作を増やしていきます。
自宅トレーニングのチェック 動画撮影をしていただいてご自宅で飼い主様が実際に動物と行っているトレーニングの修正点を見つけていきます。

Case Article乳歯遺残の症例記事

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