診療案内

破折

このような症状はございませんか?

  • 痛がる
  • 歯の形がおかしい
  • 顔が腫れる
  • 1ヶ所の歯だけ異常に歯石が多い
  • 歯の色が違う(赤い、黒い)
  • 歯の一部がグラグラ揺れる

このような症状があてはまったら、
破折》の疑いがあります。

Fracture破折とは

破折とは、歯の一部または全部が折れることを指します。

破折の原因について

外傷

硬い物を噛んだり、衝突によって物理的に歯が損傷します。破折の原因のほとんどはこれに該当します。

肉食動物である犬や猫は硬い物を噛むのが大好きです。しかし、これらの硬い物質は犬の歯に強い負荷をかけ、歯のエナメル質や象牙質に亀裂が入りやすくなります。特に、牛骨や鹿の角、ひづめ、ヒマラヤチーズ、石、硬質プラスチックのような非常に硬いものを噛むことは、歯の破折の大きな原因となります。また犬が屋外で遊んでいる際に、地面にある硬いものをかじることが破折を引き起こすことがあります。

高い場所から落ちたり、硬い物にぶつかったりすることで、歯に直接的なダメージが加わることがあります。また、他の動物との激しい遊びや喧嘩の中で歯をぶつけることも、破折の原因となります。

病気や感染

・オーバーバイトやアンダーバイト
不適切な噛み合わせは、特定の歯に過度のストレスをかけることがあります。これにより、噛むたびに歯が過度に摩耗し、最終的に亀裂や破折を引き起こすことがあります。
・エナメル質の異常
一部の動物は、生まれつき歯の一番表面を覆っているエナメル質が弱いか、欠損している場合があります。このような歯は、強度が低く通常の使用でも破折しやすくなります。また、エナメル質の発育不全や先天的な歯の欠陥がある犬は、特に歯が割れやすい傾向があります。
・吸収病変
エナメル質または象牙質の一部が溶けて歯根または歯冠に穴が空いてしまう疾患です。吸収病変がある歯は強度が落ちて弱い力がかかっても折れてしまうようになります。吸収病変は人間の虫歯(齲蝕)と似ていますが、虫歯菌、糖、酸といったものが関与せず活性化した破歯細胞により自己吸収が起こるとされていますが、なぜは死細胞の活性化が起こるのかなど病態の解明はまだまだ不充分です。

破折した歯は痛みや感染の原因となり、迅速な対応が必要です。

Treatment当院の破折治療

治療

抜歯

適応時期

歯がひどく破折し保存することが難しい場合や、歯を温存してもその後のデンタルケアなどが難しい場合、歯肉や歯槽骨などの周囲組織が外傷や歯周病などで損傷していて、歯を保存したとしてもそれを支持固定し続けることが困難と想定される場合には、残念ながら破折した歯を抜歯するのがもっとも動物のためになる場合もあります。

治療内容

全身麻酔 動物がリラックスし、痛みを感じず、ストレスなどで身体を動かさないないようにするために全身麻酔を施します。麻酔の前には、適切な麻酔計画を立てるための麻酔手術前検査が行われます。
局所麻酔 局所麻酔の注射を行いさらに鎮痛効果が増強されるようにします。
破折問題のある歯の露出 歯を抜く前に、周囲の組織や歯肉を剥離したり歯槽骨の一部を削ったりして慎重に処理し、破折した問題のある歯を完全に露出させます。
抜歯の実施 エレベータ・ラグゼータなど専門的な歯科用の器具を使用して、歯を慎重に抜きます。歯の根を複数持つ歯の場合は、がしっかりと固定されている場合は、根を分割して取り除くことがあります。また、歯根で割れている場合、上の部分を取り除いてからさらに歯槽骨を削って残った歯根を摘出する必要があります。
傷口の処置 抜歯後の空洞を洗浄し、歯周病が進行していて膿や不良肉芽が存在している場合は除去します。消毒し、必要に応じて歯肉を縫合して露出させた骨を覆いますします。これにより、感染のリスクを減少させ、傷の治癒を促進します。
治療

歯内治療

適応時期

歯の構造や割れ方でが温存が保存可能であると判断できたうえでり、残した歯に術後適切なデンタルケアを自宅でできるという場合には歯内治療によって破折師を健康な状態にを回復できる場合に行います。

治療内容

全身麻酔 動物が痛みを感じず、ストレスなどで身体を動かさないようにするために全身麻酔を施します。麻酔の前には、適切な麻酔計画を立てるための麻酔前検査が行われます。
局所麻酔 局所麻酔の注射を行いさらに鎮痛効果が増強されるようにします。
根管形成 まず歯の内部の感染物質を取り残さないように、また充填処理中に隙間を残さないようにします。
そのため、まず、歯の表面に小さな穴を開け、そこから専用の器具(ファイル)を挿入して内側を少しずつ削って広げていきます。
根管洗浄 根管内部をしっかりと洗浄して、感染物質となる神経や血管、血液を丁寧に除去します。
この段階で、細菌を完全に除去するために、専用の消毒液を使用します。
根管充填 洗浄消毒が完了した根管内部を、再感染を防ぐために専用の材料で完全に埋め立ててしっかりと充填します。
歯冠造築 最後に、歯の表面をコンポジットレジンを用いてきれいな形に作り直します。
このことによって歯石が付着しやすい象牙質を完全にカバーし、また再び咬合に使用できるようにします。

Flow治療の流れ

step01

一次診査

初診時には、まず診察室でお口の様子を診察します。
この段階では動物に意識がある状態で歯の折れ方や露髄の有無、痛みや口の動きなどの評価を行うほか、ご家庭での歯磨きケアの状況などについてヒアリングを行います。

重症度 破折の程度や周囲の組織への影響の程度を確認します。
治療方針 仮の治療計画を立て、必要な治療についてご説明します。
費用の概算 治療にかかるおおよその費用をお伝えします。
術後のケア 術後のご自宅での歯磨きケアのやり方についてすりあわせを行います。

この段階での診断は仮診断となり、確定診断や最終的な治療費は麻酔下で行う二次診査を経て決定されます。

step02

麻酔前検査

歯科の検査や処置には全身麻酔が必須です。
そのため、以下の手術前検査を行い、全身麻酔が可能かどうかを判断します。

血液検査 血液の状態を確認し、主に内臓の状態を評価します。
レントゲン検査 おもに胸部や腹部のレントゲンで心臓・肺・内臓に異常が見られないか、頭部のレントゲンで歯や顎の骨の状態を大まかに評価します。
超音波検査 内臓や心臓の動きや内部の構造に異常がないか検査します。

これらの検査に基づき、ASA分類に沿って全身状態と麻酔リスクを総合的に評価します。

step03

二次診査

全身麻酔をかけて口を自由に開けるようにします。
その後より詳しく口腔内と歯の状態を調べていきます。
プローブという専用の器具を使って歯周ポケットの深さや歯肉の腫れ具合、出欠の有無などを1本1本の歯について評価します。
つづけて口の中にフィルムを入れて歯科用レントゲンで歯と歯槽骨の撮影を行います。
(二次診査は通常麻酔前検査の約1週間後に行うことが多いです)
これらのデータを総合的に判断して必要な治療を策定します。
一次診査の見立てと異なる場合など改めて判断が必要な場合はお電話にて飼い主様に相談をします。

step04

手術・処置

飼い主様の同意を得た方法によってそれぞれの部位に必要な処置・手術を施します。
術後は全身麻酔を切って覚醒し出血などの問題がないかどうか看護していきます。
退院は処置時間の長さに応じて当日または翌日となります。

二次診査と手術・処置は同日で一連の全身麻酔で行うことが一般的ですが、二次診査の内容について詳しく説明を受けた後改めて処置・手術の内容を見直したいと希望される飼い主様の場合、いったん覚醒させて再度別日に分けて処置・手術を行うことも可能です。

step05

術後チェック

手術後7〜10日後にご来院いただいて再度口腔内をチェックします。
再チェック時には通常全身麻酔は不要です。
この日の診察では、以下の点について確認します。

口腔内の状態 手術後の口腔内の傷の治り具合や1週間での歯垢の再付着の程度を確認します。
デンタルケアの相談 今後のデンタルケアの取り組み方についてご相談いたします。
step06

処置後のアフターケア

アポロどうぶつ病院では、日常のデンタルケアの一環として愛玩動物看護師によるマンツーマンの歯磨きトレーニングを行っています。
また歯内治療を行った場合は3〜6ヶ月後に再度全身麻酔下にて歯周ポケットの深さ測定と歯科レントゲン検査を行い、治療をした歯の治癒が順調か確認します。

歯磨きトレーニングは対象が犬と猫です。
猫ちゃんの歯磨きは犬より難しいですが、猫ちゃんと飼い主様のがんばり次第で磨けるようになることも可能です。
歯磨きトレーニングでは以下のようにトレーニングを進めていきます。

ゴールの設定 どれくらい歯磨きが出来るようになればいいか、目標を一緒に立てます。
正しい歯磨きの方法を学びます。
動物との信頼関係構築 歯磨きの大切さを動物自身は理解してくれません。
無理矢理やると口の中に人工物を突っ込まれて飼い主様がただ嫌なことをやるだけという印象になってしまいます。そこで歯磨きの前提として飼い主様と動物の信頼関係をさらに高めるためにはどうしていくかをお伝えします。
歯磨き動作のステップ分解 実際に歯磨きで行う動作を細かいステップに分けて一段一段階段を上るように少しずつできる動作を増やしていきます。
自宅トレーニングのチェック 動画撮影をしていただいてご自宅で飼い主様が実際に動物と行っているトレーニングの修正点を見つけていきます。

Case Article破折の症例記事

  • 【症例紹介】犬の歯の破折|歯の一部が欠けている|志木市のアポロどうぶつ病院

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