症例紹介

【症例紹介】犬の歯の破折|歯の一部が欠けている|志木市のアポロどうぶつ病院

破折

志木市・新座市・朝霞市・ふじみ野市・清瀬市の皆様こんにちは。
埼玉県志木市のアポロどうぶつ病院です。
今回は、犬の歯の破折の症例を解説していきます。

【症例紹介】犬の歯の破折

歯が欠けていることに気付いた,との主訴で来院されました。

診察室での一次診査では右上顎の奥歯(第4前臼歯)が折れている(平板破折)ことが分かりました。

断面の中央にピンク色の丸い部分が見られ、露髄している可能性が考えられました。
露髄とは歯の中心部分を通っている神経と血管が入った管(歯髄)が歯が割れたことによって露出し、外に通じるようになってしまった状態です。

これは、人間の歯医者さんでも虫歯などで「神経が見えてしまっていますね」と言われたりするときと同じ状態です。
この状態では露髄部分から菌が侵入して歯の中心部分に感染を起こし、さらに奥に進んで顎の骨の中で膿の溜まりを作ったり、
全身に菌が波及してしまう原因にもなりかねません。

今までの動物の歯科領域ではこのようなときは感染前に予防的に抜歯をするしか無いとされてきました。
しかし人間と同じように神経を抜いて詰め物をする治療(根管治療)で歯を温存することも可能になりました。

飼い主様には抜歯する場合しない場合、根管治療する場合しない場合の全てのパターンについて納得いくまでご説明し、
飼い主様の現在の状況を踏まえて、感染の有無を定期的にチェックしつつ、治療のタイミングを見ていくことになりました。

その後、数ヶ月〜半年毎に全身麻酔下での二次診査を行いレントゲンを撮って感染の有無を確認し続け,今のところ感染がないまま、
若干ながら修復象牙質というもので露髄部分が覆われ感染リスクが少しずつ低下してきたため、このまま経過観察としています。

アポロどうぶつ病院の歯科診療では「◯◯するしかないよ」、という断定的な言い方は極力避けています。
様々な治療法や選択肢を提示しながら、それぞれのメリットデメリットをバランス良くお伝えして、飼い主様が納得のいく選択をしていただくことを大切に考えています。